理想のエタニティリングを探し続けて。オーダーメイドの記録|東京都のお客様

東京都にお住まいのお客様より、オーダーメイドのフルエタニティリングをご注文いただきました。プラチナに、直径3.0ミリのダイヤモンドを20石、一周に連ねた爪留めのリングです。
このお客様は、宝飾店にお勤めの方でした。ジュエリーを専門に扱う立場から、鑑定書やダイヤモンドの品質について、踏み込んだご質問をいただきました。そのやり取りから完成までの記録を掲載いたします。
理想のエタニティリングを探し続けて
完成した指輪をお届けした後、お客様より手書きのお礼状を頂戴しました。

このたびは、すてきなリングをお作りいただきまして、本当にありがとうございます。理想のエタニティリングを探し続け、メールでのオーダーメイドということに、少し戸惑いはありましたが、石川様にお任せして良かったなと実感しております。このリングの美しさ、ダイヤモンドの輝き、フィット感、すべてが最高です。
「理想のエタニティリングを探し続け」という一文に、この方がどれだけ長く探されていたかが表れています。専門家として多くのジュエリーをご覧になってきた方に、そう言っていただけたことは、大きな励みになりました。
鑑定書のないダイヤモンドを、どう選ぶか
最初のご質問は、ダイヤモンドの品質についてでした。婚約指輪のダイヤはGIAの鑑定書付きか、カラーとクラリティはどのグレードか、エタニティに使うダイヤも同等か。宝飾の仕事をされている方ならではの、的確なご質問です。
正直にお答えしました。GIAの鑑定書が付くダイヤモンドは、0.2ct以上からです。それ以下のダイヤモンドに鑑定書を添付する例は、ほぼありません。
一般的にエタニティリングに使われるダイヤモンドは、一石あたり0.03ct〜0.15ctです。仮に0.1ctのダイヤモンドを15個使えば、鑑定書は15枚必要になります。現実的ではありません。
つまり、0.2ct未満のダイヤモンドの品質は、業者の良心に任されているのが現状です。これはどのブランドも同じです。
だからこそ、IZURUは基準を明確にしています。当時は【F VS2 VeryGood】を基準とし、これより品質が下がらないよう注意していました。鑑定書がないぶん、品質には人一倍気を配ります。すべてのダイヤモンドは、私が自分の目で選別しています。
今回のフルエタニティリングでは、ダイヤモンドの選別を10回以上繰り返しました。20石すべてが揃って美しく見えるまで、入れ替えを続けたのです。
先に数を決めない、という設計の方法
「10号で作る場合、何石使いますか」というご質問もいただきました。これにはこうお答えしました。
ダイヤモンドの個数は、設計が完了するまで決まりません。たとえば【2.0ct】のご注文をいただいたら、10号のサイズで設計を始め、ダイヤモンドの合計重量が2.0ctに達するまで、直径を調整しながらシミュレーションを重ねます。
オーダーの内容に合わせて、後からダイヤモンドの直径と数が決まる。この方が正直な作り方だと考えています。先に「何石」と決めてしまうと、約束したカラット数に届かせるために無理が生じます。お客様とのお約束は、必ず守ります。

設計の結果、直径3.0ミリのダイヤモンドを20石使うことになりました。完成後に実測したところ、合計2.18ct。ご注文いただいた2.0ctを上回る仕上がりです。
設計の段階では、ダイヤモンドの重さは計算値でしかありません。実際に選んだ一石ずつには個体差があり、すべてを留め終えて量ってはじめて、正確な重量が分かります。お約束したカラット数を下回らないよう設計しているので、実測値は少し上に振れます。
台座を二段にすると、軽やかになる
デザインは二つの案をご提案しました。お客様から「それぞれどのような点が優れているとお感じですか」とお尋ねいただき、こうお答えしました。
二つ目の案の方が、すっきりとしたデザインです。理由は、ダイヤモンドを留める台座が二段になっていて、空洞があるからです。この空洞があるために、軽やかな印象を受けます。
一つ目の案は、少し重い印象です。台座に空洞がなく、がっしりとした作りだからです。ただし、指輪が厚いぶん、ほんの少しサイズを広げられるという実用上の利点があります。
デザインの視点と、実用の視点。二つの視点からご提案し、お客様は二つ目のデザインをお選びになりました。
内側に穴を空けるか、埋めるか
製作の途中で、もう一つの選択がありました。指輪の内側に穴を空けるかどうかです。

穴を空けない場合は、刻印を入れることができます。穴を空ける場合は刻印が入れられませんが、汚れを掃除しやすいという利点があります。
お客様は、穴を空ける方をお選びになりました。ところが最終確認の段階で、刻印も入れたいとのご希望をいただきます。

そこで、必要な箇所だけ穴を5個埋め、そこに【Pt900】と【2.0ct】の刻印を入れることにしました。

穴を埋めない方が美しい、というのが私の考えでした。それでも、お客様は専門家です。ご自身のお使いになる指輪について、明確なお考えをお持ちでした。ご指示のとおりに製作いたしました。
原型から、完成まで
原型が完成し、キャスト(鋳造)の工程に入りました。念のため、2本を同時に製作しています。1本は予備です。フルエタニティリングは全周にダイヤモンドを留めるため、万一の際にやり直しがきくよう備えました。
その後、ダイヤモンドの選別と石留め。20石すべての表情を揃えるため、選別は10回以上に及びました。
こうして完成したのが、この一本です。


完成した指輪の詳しいスペックとデザインの意図については、オーダーメイドの事例ページでご紹介しています。
オーダーメイドについて
IZURUでは、既製品にご希望のものが見つからない場合、オーダーメイドで指輪をお作りしています。デザイン、素材、ダイヤモンドの品質、サイズ。ひとつずつご相談しながら決めていきます。
このたびは、IZURUでお仕立ていただき、誠にありがとうございました。末永くご愛用いただけましたら幸いです。