ロイヤル・アッシャーカットとスクエア エメラルドカットの違いとは?専門家が徹底解説
ロイヤル・アッシャーカットとスクエア エメラルドカットの違いとは?専門家の正直な視点から
先日、こんなお問い合わせをいただきました。
> 「IZURUでロイヤル・アッシャーカットは扱っていますか?」
私は「扱っていません」とお答えしたのですが、そのあと、ふとあることを思い出しました。
「そういえば、スクエアのエメラルドカットは、ロイヤル・アッシャーカットにすごくよく似ているな」と。
気になって、海外の業者が扱っている在庫を改めてチェックしてみました。
ロイヤル・アッシャーカットとは? その歴史と価値
まず、ロイヤル・アッシャーカットとは何かを簡単にご紹介します。
元になっているのは、1902年にオランダのアッシャー社が開発した「アッシャーカット」です。これは、正方形に近い形をしたステップカットで、クラシカルな輝きと落ち着いた印象を持ちます。
2001年、この伝統的なカットをさらに進化させたものとして登場したのが「ロイヤル・アッシャーカット」です。面の数を通常のアッシャーカット(58面)から74面に増やし、光の反射を計算し尽くした設計が特徴です。
このカットはアッシャー社が特許を取得しており、他社では製造できません。そのため、単なるデザインではなく「ブランドの歴史と哲学が詰まった特別な存在」と言えるでしょう。
また、アッシャー社は、かつてイギリス王室にカリナン・ダイヤモンドのカットを任された実績もあり、王室との深い関わりを持っています。こうした背景が、「ロイヤル・アッシャー」という名前に込められているのです。
スクエア エメラルドカットを見直す
ロイヤル・アッシャーカットは、特許を取得した特別なカットです。名前の響きも、デザインも、どこか気品があり、多くの方に憧れを持たれています。
でも実際に、スクエア エメラルドカットと見比べてみて、私はこう思いました。
> 「……これ、すごく似てるな。代わりにスクエア エメラルドカットを使えばいいんじゃない?」
それくらい、見た目に大きな差は感じられなかったんです。もちろん厳密には、面の数や設計に違いはあります。でもその違いは、ルーペを使っても判断が難しいレベルかもしれません。
「面数が多い=輝く」は本当?
巷では、「ロイヤル・アッシャーカットは、通常のアッシャーカットより面が多いから、より輝く」と説明しているお店もあります。たしかに、カットの面が増えれば、光を反射する“チャンス”も増えるという考え方は理にかなっているように見えます。
でも、それが真実なら——プリンセスカットやラディアントカットの方が、もっと輝くはずです。実際には、そう単純な話ではありません。
ダイヤモンドの輝きに影響する要素は、カットの面数だけではありません。
– カラット(大きさ)
– カラー(色)
– クラリティ(透明度)
– カットのプロポーション(角度や深さ)
– 蛍光性
– 原石の品質(見えないけれど重要)
これらがバランスよく揃って、ようやく「美しく輝くダイヤモンド」が完成するのです。
ライトとダイヤモンドの“本当の輝き”
有名なジュエリーブランドのお店で指輪を見ると、多くの方が「すごく輝いていますね」と驚かれます。
でも実は、それはお店のライトの影響がとても大きいのです。
特に銀座の有名ブランドのお店では、指輪がどこから見ても美しく見えるよう、照明が計算しつくされています。まるで舞台のスポットライトのように、ダイヤモンドの輝きを演出しているのです。
しかし、そこには一つの落とし穴があります。それは、本当の輝きではないかもしれないということです。
では、自然光で見れば良いのか? 実はそれも難しい。太陽の下では、オレンジ色の光が強く、ダイヤモンドの透明感が霞んでしまうことがあります。
では、どこで見るのがいいのか?
私が一番“自然な輝き”を感じられると思っているのは、夜の銀座の街を歩いているとき、街灯の下でふと見えるダイヤモンドの輝きです。
太陽の色もなく、お店の照明ほど誇張されることもない。ただ静かに、ダイヤモンド本来の魅力が浮かび上がってくる。そんな瞬間に、「これが本当の輝きかもしれない」と思うことがあります。
最後に:お客様の声から生まれた新しい提案
これまで「IZURUでロイヤル・アッシャーカットは扱っていますか?」と聞かれた際には、「申し訳ありません、扱っておりません」とお答えしていました。
でも、今回改めてスクエア エメラルドカットを見直してみて、こう思いました。
> 「これなら、ロイヤル・アッシャーカットをご希望の方にもご提案できるのではないか?」
スクエア エメラルドカットは、見た目の印象も近く、上品で落ち着いた輝きを持っています。そして、弊社でも取り扱いが可能です。
今回のお問い合わせがなければ、私はこのことに気づいていなかったかもしれません。
ご質問くださったお客様に、心から感謝しています。
ロイヤル・アッシャーカットにご興味のある方、もしくは似た雰囲気のダイヤモンドをお探しの方は、ぜひお気軽にご相談ください。専門家の目線から、最適なご提案をさせていただきます。