お客様はダイヤモンドの品質の良し悪しをお気付きになるか?
先日、こんなお問い合せがありました。
「ピカピカに光るダイヤモンドを見せてください」
具体的にどのような品質のダイヤモンドをお見せしたら良いでしょうか、と訪ねると。
「具体的な品質は決まっていないが、婚約指輪に使うダイヤモンドを自分で選びたい」
「理由は他店でダイヤモンドを見た際、輝きが強いダイヤモンドと弱いダイヤモンドがあったから」
こんな風におっしゃっていました。
お客様のお気持ちはよく分かります。
弊社はダイヤモンドの卸売りの会社です。
ご用意しているダイヤモンドは多い方だと思います。
ただ、ダイヤモンドの品質を見分けるのは訓練が必要で、現在、通常の商品に使用するダイヤモンドは弊社が決めています。
すぐに決めず、時間をかけてダイヤモンドを選んでいます。
※オーダーメイドの商品の場合、特殊なダイヤモンドを使います。そのため、お客様にダイヤモンドをお見せすることが多いです。
さて、話を本題に戻します。
お客様がダイヤモンドの品質の違いに気付く場合、気付かない場合
今まで色々なお客様にダイヤモンドをお見せしました。
以下、私の意見です。
① 品質の違いが大きい場合は、お客様はダイヤモンドの良し悪しが分かる。
② 似たような品質、特に高い品質のダイヤモンドの場合、品質の良し悪しは分からない。
①について。
例えば、特に安い価格で販売されているジュエリーを見ると、ダイヤモンドの品質が低いと気付く方が多いと思います。
テレビショッピング
ECモール
ショッピングモール
etc.
これらはルーペを使わずに、肉眼で品質が低いと分かるかもしれません。
※価格が安いので、品質が低いのは仕方がないと考えています。
※また、安い価格のジュエリーがあることによって、職人の仕事を維持することができます。
②について。
【0.30ct D VVS1 3Excellent None】
【0.30ct E VVS1 3Excellent None】
極端な例ですが、上のダイヤモンドを2つお見せするとします。
この2つのダイヤモンドをお客様がルーペで見た場合、違いは分からないと思います。
私はわずかなColorの違いとCutの違いで見分けます。
このようにダイヤモンドの品質が高くなると、お客様がダイヤモンドの品質の違いを見極めるのが難しくなります。
【D VVS1】より【E VVS1】の方が良いと判断することもあります。
すごく分かりにくいかもしれません。
0.7カラットのクッションカットを輸入して、オードリーの若林さんの話が染みる。
この記事にも書きましたが、ファンシーカットの場合、ColorとClarityが優れていても、Cutの品質が一段低い場合があります。
こういう場合は総合的に判断して、【E VVS1】を使うことがあります。
この辺の目利きは経験を積まないとできません。
細かすぎる話かもしれません。
どのくらい訓練すると、ダイヤモンドの細かい違いが分かるようになるのか?
1日に100個のダイヤモンドをルーペで見た場合、3年くらいで品質が分かるようになります。
※早い人だと、2年くらいで分かるようになるかもしれません。
ダイヤモンドの品質を見分けるのは難しいです。
訓練しても目利きができない方もいると思います。
だから、「お客様がご自身でダイヤモンドを選ぶ際は、よく注意した方が良い」と考えています。
お客様がダイヤモンドと婚約指輪の空枠を選び、それらを合算した代金を支払う。
現在、このようなスタイルのお店が多いです。
でも、「これで本当に良いのか?」と考えることがあります。
ダイヤモンドと指輪をマッチングさせるビジネスモデルの場合、スタッフが全てを検品するのは大変だと思います。
例えば、一流のレストランの場合、食材はシェフが選びます。
ギターやヴァイオリンなど、楽器に使う木材は製作家が選びます。
もちろん、お客様がダイヤモンドのスペックを指定するのはありです。
ただ、念のため専門家にダイヤモンドの特徴を確認してもらった方が良いと考えています。
参考になれば幸いです。