ピンクサファイアとダイヤモンドが奏でる特別なパヴェリング
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ピンクサファイアとダイヤモンドが織りなす、夕暮れの輝き
丁寧な手仕事から生まれた特別なジュエリーです。
人生に寄り添う特別なジュエリーには、言葉では言い尽くせない魅力があります。
今回ご紹介するのは、ピンクサファイアとダイヤモンドを贅沢に敷き詰めたパヴェリング。
熟練の技と細やかな感性で、一つひとつ丁寧に仕上げた作品です。
この指輪に込めた想いを、どうぞご覧ください。
宝石と素材
使用した宝石は合計55個。
内訳は、ピンクサファイアが37個、ダイヤモンドが18個。
宝石の直径は約1.5ミリ前後で、繊細ながらも確かな存在感を放ちます。
地金にはK18イエローゴールドを採用。
温かみのあるゴールドが、ピンクサファイアとダイヤモンドの輝きを引き立て、豊かな色彩のコントラストを生み出しています。
このデザインは、以前制作したパヴェリング(参考リンクはこちら)をベースにしています。
ただし、今回のリングは、宝石をほんのわずか(約0.1ミリ)大きくすることで、より豊かで表情豊かな仕上がりを目指しました。
制作のこだわり
設計自体には大きな問題はありませんでした。
慣れたデザインとはいえ、今回特に苦労したのは「ピンクサファイアの選別」です。
・色が美しいこと
・色味が揃っていること
・透明感があること
これらすべてを満たすピンクサファイアを揃えるため、実際には必要数の3倍以上の石を仕入れ、その中から厳選しました。
この手間を惜しまない姿勢こそが、指輪全体の美しさに直結しています。
制作を進める中で、自然と一つの情景が浮かび上がってきました。
ピンクサファイアは、沈みゆく太陽。
ゴールドは、それを映す海。
ダイヤモンドは、きらめく白波。
そんな物語を感じさせる、美しい指輪に仕上がったのです。
普段とは異なる「色の世界」
私自身、普段は「ダイヤモンド×プラチナ」のジュエリー制作を主に手がけています。
白と白の組み合わせは、純粋で、気品があり、美しい世界です。
しかし、今回手がけた指輪は、色彩の変化が生み出す美しさが際立っていました。
普段とは違う、「色のある世界」の豊かさに改めて感動しました。
「こういう美しさも素晴らしい」と、素直に心から思える経験になりました。
信頼関係の中で生まれた指輪
この指輪は、神奈川県のお客様からご注文いただいたものです。
初めてのご依頼は2017年。
最初にご注文いただいたのはこちらのエタニティリングでした。
→ 大粒ダイヤモンドのエタニティリング
それから8年、今回で5回目のご注文となります。
すべて、メールのやり取りだけでお受けしてきました。
特に今回は、「ピンクサファイアを使ってほしい」というご要望以外、すべてを私に任せてくださいました。
これだけ強い信頼を寄せていただけると、自然と心が引き締まり、「必ず良い作品を作ろう」という気持ちが高まります。
ジュエリーづくりへの想い
今回に限った話ではありませんが、私はいつも、「後ろめたさのない仕事」を心がけています。
私は完璧な人間ではありません。
けれど、手を抜かず、丁寧に、誠実に、ジュエリー制作に向き合ってきました。
いつか私が引退する日が来たとき、過去を振り返ってこう言えるでしょう。
「私は、できる限り丁寧に仕事をしてきた」と。
その自負があるからこそ、今日もジュエリーと真摯に向き合うことができます。
ピンクサファイア選びのこだわり
ピンクサファイアは非常に柔らかい宝石です。
そのため、ダイヤモンドのようにシャープなカットを施すことはできません。
また、カットが浅すぎると色が薄く見えてしまうため、「形の美しさ」と「色の鮮やかさ」のバランスが重要になります。
私がピンクサファイアを選ぶ際に特に重視したポイントは、以下の三つです。
・色が美しいこと
・色味が揃っていること
・透明感があること
ピンクサファイアは一つひとつ個性を持っています。
わずかな色の違いや、透明度、光の反射の仕方が異なります。
37個のピンクサファイアを揃える際も、「単に個々が美しい」だけでは不十分です。
全体として並んだときに、ひとつの調和した美しさを生み出せるように、宝石同士のバランスを細かく調整しました。
例えるなら、サッカーチームのメンバー選びのようなものです。
個々の能力が高いだけではなく、「チームとして機能するか」を考えなければなりません。
宝石も同じで、全体で最適化することが重要です。
私が手がけるエタニティリングは、美しいとよくお客様からお褒めいただきます。
個々の石だけではなく、全体として調和が取れた美しさを目指して、細部まで丁寧に仕上げています。
手前味噌ですが、ここまで対応できるジュエラーは、実際にはそれほど多くないと感じています。
カラーストーンとダイヤモンドの対比が生む美しさ
カラーストーンを使ったジュエリーには、ダイヤモンドだけのジュエリーとはまた違った魅力があります。
特に、色と光のコントラストが生み出す豊かな表情は、カラーストーンならではの美しさです。
ただし、誤解してほしくないのは、ダイヤモンドの品質も非常に重要だということです。
もしダイヤモンドの品質が低ければ、カラーストーンの美しさを引き立てることはできません。
だからこそ、私はカラーストーンを使うときも、ダイヤモンドの透明度、輝き、白さに細心の注意を払っています。
今回のリングでも、ピンクサファイアの鮮やかな色彩と、ダイヤモンドの澄んだ白色との対比が絶妙なバランスを生み出しています。
異なる個性を持つ宝石同士が響き合い、互いの魅力を最大限に引き出している――そんな仕上がりを目指しました。
自然の美に想いを寄せて
将来、もしまたカラーストーンを使ったジュエリーを制作する機会があれば、特に明確なテーマを定めるつもりはありません。
ただ一つ、心にあるのは「自然の美しさに想起させるような作品を作りたい」という想いです。
自然が生み出す色、光、形は、時代を超えて普遍的な美しさを持っています。
海の色、夕日の輝き、花々の彩り――それらは決して色あせることがありません。
ジュエリーもまた、そうした普遍的な美しさを宿す存在でありたいと願っています。
自然の美に寄り添う作品を、これからも丁寧に作り続けたいと考えています。
お客様へのメッセージ
2017年、最初にご縁をいただいてから、あっという間に8年が過ぎました。
その間、4回のご注文をいただき、今回は5回目のご依頼となりました。
どこに出しても恥ずかしくない、心から誇れる作品に仕上がったと感じています。
末永く、お手元でこの指輪を楽しんでいただけたら幸いです。
改めまして、このたびもご注文いただき、誠にありがとうございました。
締めの言葉
ジュエリーは、単なる装飾品ではありません。
身につける人の人生にそっと寄り添い、時には力を与え、時には思い出を彩る存在です。
これからも、心を込めたものづくりを通して、お客様の人生に美しい光を届けていきたいと願っています。