お客様を守りたい。他店の指輪を作り直して欲しいと言われて。
2022年1月25日。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
先日、こんな電話がありました。
お相手をA様とします。
A様 「IZURUは〇〇と同じデザインで指輪を作ることはできますか?」
※〇〇はティファニーやカルティエなど、有名なブランドの名前とお考えください。
弊社 「できません。似たスタイルの指輪を作ることは可能ですが、細かい部分は違います。」
A様 「IZURUでは他店の指輪のリフォームをしていますか?」
弊社 「申し訳ありません。他店の指輪のリフォームは請けていません」
このようにお答えしました。
A様の声から「どうしたら良いのか」という雰囲気を感じました。
なぜ、このようなことを聞くのかと不思議に思い、詳しく事情を聞きました。
どうやら、他店で購入した婚約指輪が最近納品されたようです。
納品された婚約指輪は希望した商品に似ておらず、ガッカリなさっていました。
弊社 「購入したお店にはその旨を話しましたか?」
A様 「話しましたが、取り合ってもらえません。」
弊社 「そうですか。」
弊社はリフォームを承っていません。
残念ですが、この時点で弊社ができることはありません。
ジュエリー業界には色々な会社があります。
私達はなるべくお客様を守りたいと考えています。
最初から弊社がオーダーを受けていたら、お喜びいただける結果になっていたと思います。
多くの人が有名なブランドのセンスを甘く見ている。
ジュエリーの工房に写真を見せて、「同じようなデザインの指輪を作ってください」と言ったが、思ったデザインと違う指輪が納品された。
このようなケースは多いです。
なぜ、このようなトラブルが起きてしまうのでしょうか?
それは、多くの人が有名なブランドのセンスを甘く見ているからです。
有名なブランドは「ああでもない。こうでもない」とよく考えて、指輪を設計しています。
IZURUが指輪を作る場合も、「どうしたら美しくなるか。お客様はどんな指輪が欲しいのか」とずっと考えています。
あまり意識の高くない工房に婚約指輪を依頼すると、この辺の意識が甘くなります。
もう少し厳しく書くと、自分の得意なやり方でどんどん製作を進めてしまいます。
その結果、お客様の希望と違うデザインに仕上がります。
違うブランド・職人が作ったので、違う結果になるのは当然かもしれません。
どうすることもできないので、女性は落ち込みます。
職人さんのセンスが良いと腕が良いは別です。
よくある誤解ですが、腕の良い職人のセンスが良いわけではありません。
家を建てる大工さんを想像してください。
大工さんが自分で建てた家は、材料や仕事は良くてもセンスがいまいちということが多いです。
美しい家には、センスの良い建築家も必要です。
良い建築家と大工さんが協力して、初めてセンスの良い家を建てることができます。
同じように、ジュエリーも腕の良い職人だけでは、良い感じの形に仕上がらないことが多いです。
優秀な設計者やデザイナーが必要です。
だから、ティファニーやカルティエの指輪を見て、「こんなの簡単に作ることができる」と軽く扱う工房は注意した方が良いです。
過去に作った商品を見せてもらって、「センスが良くない」と感じたら、注文するのは止めた方が良いです。
今日は少し偉そうなことを書きました。
参考になれば幸いです。