【Part 2】 私の好きな人 さわかみ投信株式会社 澤上篤人会長について。

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澤上篤人

【Part2】 私の好きな人 さわかみ投信株式会社 澤上篤人会長について。

2016年5月、澤上篤人会長について文章を書きました。
仕事の間に【Part2】の文章を書きました。
前回同様、インタビューを基にしています。

今回は大学卒業から松下電器に入社、そしてお金を稼ぐためにスイスに渡り、天職である金融の仕事に就き、日本に帰ってくるまでの流れを書いています。

文章を読んで校正しているうちに、良い意味で「お前はちゃんと仕事をしているか?」と父親から怒られているような感覚になりました。

たぶん、本気で働いてきた人の人生に触れると、それだけで多くの刺激を受けるのだと思います。

手前味噌ですが、とても良いインタビューだと思います。
よかったら、ご覧ください。

前回の記事はコチラ

https://izuru.biz/blog/8798.html

さわかみ投信株式会社

http://www.sawakami.co.jp/

澤上篤人。大学卒業後、松下電器へ。そして、お金を稼ぐためにスイスのジュネーブへ。

― 松下電器に入られて、何年間くらい在籍なさっていたんですか。

澤上会長 いや、もう1年弱。

― 1年弱で。それは、なにかしら感じることがあって、もうそのときは頭からスイスへ行こうと思っていたんですか。

澤上会長 違う、違う。大学を出で松下に入ったものの、その給料を見たら家の借金をとても払えそうもないじゃない。

― ああ、なるほど。

澤上会長 このままでは永久に払えないと。

― はい。

澤上会長 当時は日本とアメリカやヨーロッパでは給料が10倍の違いあったんだよ。それで、あっちに行ったほうが稼げるだろうと思ったんだよ。

― 実を取ったということですね。

澤上会長 違う、違う。もう不純だよ、動機は(笑)

― いやいや(笑)

澤上会長 金が稼げるだろうということで(笑)。それで、たまたまヨーロッパには行っていたから、向こうの社会を見てきたから。

― 大学の卒業旅行が役に立っているということですね。

澤上会長 あちらは階層社会だから、下から皿洗いで入ったら絶対に上がれないんだよ。

― 勉強になります。

澤上会長 できるだけ高いところから入らないと。

― 最初から階層が固まっているから、そこは動かないんですね。

澤上会長 だから、上の階層に上がるのは大変だよね。そこに入るには、どうしたらいいのかというのを考えたら、まあ、アメリカでもヨーロッパでもどっちでもよかったんだけど。

― はい。

澤上会長 たまたま大学で国際関係論とか政治とか、今で言う地政学をやっていたから、だからそれだったらヨーロッパに行ったほうが面白いだろうと。

― はい。いいですね。

澤上会長 それでジュネーブに国際問題研究所というのがあるんだけど、すごく有名で、すごくレベルが高いところなんだけど。

― はい。

仕事を見つけるため、自分で新聞に広告を出す。20社から問い合わせが来る。そして、資産運用会社のキャピタルに出会う。

澤上会長 そこの国際問題研究所のドクターコースに、まず登録をして。その足で新聞に小さな広告を出したの。

― ご自身の新聞広告を?すごいですね(笑)。すごい行動力ですね。

澤上会長 いや、食っていくためだよ。食っていくために知恵が生まれるんだよ、だんだんと。それで広告を出したら21通の返事が来て。1通はひどい返事だったけどね。要するに戦争があったから、ジャップ!イエロー!日本にすぐに帰れ!って。

― ひどいですね。

澤上会長 メチャクチャだったけど20通はまともな返事が来て、最初の3つに面接に行ったんです。それですぐ3つとも受かって。

― すごいですね(笑)やっぱり、普通の人と違うと思います。

澤上会長 それでいちばん面白そうな会社で、たまたま入ったのが世界で1、2、3位の長期運用会社だったんです。

― キャピタルですね。

澤上会長 そう。たまたま。

― 日経の文庫を見ました。すごい会社ですね。

【キャピタル 驚異の資産運用会社 (日経ビジネス人文庫)】

澤上会長 当時はもっとすごい会社だったんです。

― キャピタルってアメリカの会社じゃないですか。

澤上会長 キャピタルはヨーロッパの本部がジュネーブにあったの。

― すごいですね。

澤上会長 そこにバイトに入ったわけ。契約は1日2時間の週5日の勤務で、1カ月の給料が松下のときより高いんだから。

― すごいですね。ジュネーブの国際問題研究所で勉強できるし働けるし。

澤上会長 いやいや、勉強なんて。稼ぐためにスイスに行ったから。稼ぐためには高いレベルのところに入らないといけないから。そして、ドクターコースに行ったら、案の定いいバイトがあって、それで給料が高いわけよ。

― すごいですね。

澤上会長 それで、しめた!ということでね。そこまでは、まあ非常に不純な、要するに金稼ぎで行ったということだけど。けれども行ったら、ここからが面白いんだけどね。

― はい。

自分の仕事に対する考えや人生観を変えてしまう、素晴らしい男達に出会う。

澤上会長 当時のキャピタルは、とんでもない男たちがいて。女性の前でごめんよ。とんでもない人たちで。

― 大丈夫です。

澤上会長 世の中にこんなやつがいるのかよ、というくらいすごいのが。でも、それで一気にその人達に憧れたわけよ。

― いいですね。

澤上会長 例えば、どんだけすごいかというとね、1人、いちばん分かりやすいのを言うと、本職がファンドマネージャーで、それで趣味がF1。

― そりゃあ、すごいですね。

澤上会長 ただの趣味じゃなくて、F1の世界チャンピオン。

― え!そんな人なら調べれば分かりますね。すごい人ですね。

澤上会長 そう。60年のボブ・カービンで調べてごらん。ボブ・カービンっているから。

― ボブ・カービンですね。

澤上会長 あれ、ボブなんか、世界チャンピオンだよ。

※ 「ボブ・カービン」をネットで検索したところ見つかりませんでした。

― すごいですね。

澤上会長 本業がファンドマネージャー、趣味が世界チャンピオン、こんな人がゴロゴロいたわけよ。

― もう、人間の個人的な資質が、なんかすごいですね。すごいレベルですね。

澤上会長 もう、仕事はものすごい。12時間13時間、すごい集中力で、ものすごいスピードでこなして、頭はいいわ仕事はすごいわ。それで同時に趣味が世界クラスで、かつ、家庭を結構大事にするんだよ。

澤上会長 その家庭を大事にするというのも、普通のマイホームパパじゃなくて、9時5時じゃなくて、家族と夕飯を食べるのは月に1回か2回しかないの。忙しいから。

澤上会長 でも、その日だけは、ものすごい濃密なお父さんになるよね。メリハリがあるんです。

澤上会長 それで、ときどきは招かれて行ったけどね、そのときは本当に典型的ないいお父さんで、例えば夕飯を食べるときも、子どもたちとゆっくりと会話しながら食べて。

― はい。

澤上会長 それで普通の日本のお父さんだったら、あとはテレビを見て、子どもに、勉強せえ!ってやるじゃない。

― うん。

澤上会長 違うんだよ。一緒に片づけることが済んだら、自分も本を読んで勉強に入って、それで子どもも自然に勉強するわけです。テレビは見やしない。

― ああ、すごいですね。背中を見ているからですね。

澤上会長 そう、そう。それでいい教育をしているよな、と思って。仕事・趣味・家庭、3つともすごいわけよ。

― すごいですね。

澤上会長 スイスのキャピタルには、そういう人たちがゴロゴロいたんです。

― みんなレジェンドですね。本当に。

頼りになる先輩・同僚はいない。一人で資料室にこもり、金融に対する知識を深めていく。

澤上会長 そう、そう。それで世界のレベルっていう感じがして、そうしたら、オレもあんな人たちに追いつくなんて無理だと思ったけど、ちょっとでも真似してみたいと思って、とにかく上がっていきたいと。

澤上会長 だから自分がすぐに決めたのは、1日2時間で週5日という約束だけれども、会社に行って好きなだけ勉強したい、学習をしたいから会社にもっと長い時間居ていいか、と聞いて。

澤上会長 会社は、ダメだよ。契約は2時間だからと。それで、いや、いや、お金はいいから、自分は好きなだけ勉強をしたい、仕事をやりたいと言ったら、じゃあ勝手にやれよと。

澤上会長 それで決めたのは、そのすごい人たちが12時間13時間やるから、オレは絶対に16時間17時間仕事をすると決めたの。それで、それを本当にやって、土日なしで。

― カッコいいですね。すごい。

澤上会長 いや。それくらいやらないと、とてもじゃないけど追い付けないから。それで、仕事をものすごくやりだして。

― はい。

澤上会長 ところがやりだして分かったのは、もちろん最初はバイトだけど、だんだん上がっていって、だんだん責任もついて仕事も増えていくわけで。

澤上会長 そうすると、その人たちはそうではないけれども、中途半端な連中は潰しにくるわけよ。

― そうですよね。当時はアジア人は珍しかったと思いますし。

澤上会長 いや。そういうアジア人とか言う以外に、完全にレベルの高い白人社会の中での唯一の有色人種。イエローもブラックもコミコミで。

― すごい大変ですね。

澤上会長 かつ、向こうは社員教育が一切ないわけで、何が悲しくて将来の競争相手を作らないといけないのかということだし。特に教えてくれないし。

― 勉強になります。

澤上会長 教えてくれないし、ちょっと上の人でも、これはどうしたらいいかと聞きに行ってもね、それは私の仕事じゃないから、もっと下っ端に聞けとか、言えば済むことなのに、それは私の仕事ではないとかね。そういう格好で。

― キツいですね(汗)

澤上会長 もうひどい仕打ちで、それで唯一の有色人種だったから、まあ、ひどかった。でも、そういうのもあったから、それで面白いから、とにかく勉強したんだよ。

澤上会長 誰も教えてくれないから、しょうがないから、会社にものすごい書庫があってファイルがあるわけよ。

― はい。

澤上会長 そういうファイルを見ながら、こういうレポートは、このベースでどうやったら作れるのかと思って、膨大なファイルを読んで、比べて、どういうベースでこれを書くのかとかとね。だから真夜中になるのに決まっているわけよ。

― あー、すごい。

澤上会長 毎日、11時12時になって。

― その偉人たちというか、すごい人たちの思考が、その資料から、このレポートになるまでの、その通り道というのも自分で追いかけていくうちに、そういう考え方を身に付けるというか。

澤上会長 それしかない。教えてくれないから。(笑)

― すごいですね。(笑)

澤上会長 盗むしかないじゃん。

― 当時、資料は英語だったんですか、フランス語だったですか。

澤上会長 英語とフランス語と。ドイツ語はちょっと無理だから、英語とフランス語は分かったから。

― すごいですね。それで何年間くらい続いたんですか。

澤上会長 結局4年ちょっとだね。

― そのあいだにフルタイムに変わっていったですか。その2時間だけというのから。

人種に関係なく、実力が評価される会社。正社員になってビックリするくらい給料が上がり、世界各国を飛び回る生活になる。

澤上会長 それをやりだしたら、3カ月くらいで会社のほうが社員になれと言ってくれて。

― ああ、厳しいながらもやっぱり見ているんですね。

澤上会長 やっぱりものすごく仕事をやるからね。

― ああ、すごいですね。

澤上会長 社員になった瞬間に、びっくりするくらいの給料になっちゃって。ええ?って。

― 良い話ですね。夢があります。

澤上会長 それで社員になって、どんどん立場が上がっていったわけよ。それでも、絶対に向こうは俺を認めないわけよ。ましてや白人社会だから。

― そうですね。

澤上会長 仕方がないから、圧倒的な実力の差をつけるわけよ。それくらいの差をつけて初めて、それから“ミスター・サワカミ”になるわけ。もう勝負ではなくなるから。

― うん。

澤上会長 それで上がれば上がるほど、何がすごいのかと分かったのは、それまでは目先の競争のことを考えたけど、上がれば上がるほど、より広い裾野から上がってきた連中に会えるのよ。よりすごい人に。上に行けば行くほど。

― ステージが変わってくるんですね。

澤上会長 そう。もう世界が変わるんだよ。それで、そういうことがあるとね、上に行くのが面白くなって。ますますもって仕事をやったわけよ。もう、遊んでいる暇はないしな。よく、「向こうのスイスの女性とお付き合いする勇気はありましたか?」と聞かれるけど。全く関係なしで。

澤上会長 それ以上に面白いのが、レベルが上がること。そうすれば世界の連中と会えるからね。

― すごいですね。

澤上会長 それで気がついたら、もうアナリストになって、ファンドマネージャーになって。そうしたらしょっちゅうアメリカに行ったり、ロンドンに行ったり、パリに行ったり、日本に行ったりで。

― ああ、そういう流れだったんですね。

澤上会長 どんどん出張が入って。それで気がついたら、結構いい状態まできたということで。

― すごいですね。それで4年だから23、24。じゃあ、20代の後半くらいまでスイスにいたという、そういうことですね。

澤上会長 そう。それでその間に、あれやこれやで借金を全部払い終わって(笑)

― すごいですね。20代で一気に稼いで、ムチャクチャな人生ですね(笑)

澤上会長 あちらの給料は高いし、お金を使う暇もないじゃん。仕事ばっかりやっているから。

― ああ、そうですよね。会長のすごいところは、あれですね。居つかないところですよね。

澤上会長 何が?

― なんて言ったらいいのか。普通は、なんて言うかな。居続き始めるんですよね。上手くいき始めたりすると、その場所に留まるというか。そうなんですけど会長の場合は、常に上へ上へと動いているのが本当に。

澤上会長 これはね、ありがたいのはね、世界はすごいというのを見ちゃったから、上を見たら、もっとすごいのがいるんじゃないかとか、こっちのほうが面白いじゃんとか。そんなふうに酒を飲んでごちゃごちゃするよりも、上がれば上がるほどすごいのに会えるし。

― すごいですね。

澤上会長 それで、もっと勉強したり仕事やったりしてね、上に行けば行くほど世界は面白くなるから。

― それは素晴らしいですね。

澤上会長 これはラッキーだったね。

ビザの関係からスイスに入ることが難しくなり、20代後半に日本に戻ることになる。

― 20代後半になって。そのままスイスにいたっていいわけじゃないですか。

澤上会長 それは、こういう問題が起こって。要するにドクターコースの学生なのに、一応向こうはレイバーパミッションがあって、やっぱりスイス人を雇わなければいけないということだから、非スイス人というのには制約があって、雇えるのは何人という割り当てがあって。

澤上会長 それで、オレはドクターコースで学生の身分でやっていたから。そうしたら、当局に目を付けられて、会社のほうも、危ないかな、と言い出して。

― ああ、そうですか(笑)

澤上会長 これは違法労働だと。

― そんなに厳しんですか。

澤上会長 めっちゃ厳しくて。下っ端はいっぱい、いろいろなのを集めるんだけどね、掃除とかするのは。上は、スイス人の仕事を奪っちゃうわけよ。

― スイスはそんなに厳しいんですね。

澤上会長 どこもそうだと思うよ。上にはそうだよ。

― 上になってくるとそういうことですね。勉強になります。

澤上会長 だから、すごい厳しいからオレは危なくなって。

― はい。

澤上会長 逮捕されちゃ、マズいから(笑)

― マズいです(笑)

澤上会長 それで会社も「どうする?」って言って。本社は「ロサンゼルスのLAに行くかい?」て言っていて。「いや、そろそろ1回日本に帰るわ」と伝えて。それで会社を辞めて日本へ帰ったんだ。

― いよいよ日本に帰ったんですね。

次回へ続く

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