結婚指輪の選び方 なぜ、指輪は変形してしまうのか?
先日、結婚指輪の耐久性について記事を書きました。
IZURUでは9割のお客様がプラチナの結婚指輪を選んでいます。
だから、プラチナの結婚指輪が【歪む、曲がる、変形する】について、もう少し深掘りします。
後半にあまり知られていないことを書きました。
差し支えなければ、最後までお読みください。
細すぎる、薄すぎる。ペラペラの結婚指輪は変形しやすい。
現在、ほとんどの結婚指輪はプラチナ・Pt950で作られます。
高価な金属です。
細く・薄く設計すれば、コストを抑えることができます。
プロの目から見ると、「これで大丈夫か?」と不安になるような結婚指輪も多いです。
意外に思うかもしれませんが、プラチナは硬い金属ではありません。
どちらかというと、柔軟性があり、粘りがある金属と認識しています。
だから、プラチナはジュエリーを作るのに適している。
そして、細すぎる・薄すぎる結婚指輪は避けた方が良い。
このようにお考えください。
ルテニウムや銅を混ぜることによって、プラチナは硬くなる。
プラチナは柔らかい。
だから、ジュエリー業界の先人はプラチナの長所を残し、改善しました。
Pt1000はプラチナ100%を指します。
Pt950はプラチナが95%を指します。
それでは、Pt950の残りの5%に何を混ぜているのでしょうか?
【パラジウム・ルテニウム・銅】のどれか一つか二つを混ぜています。
例えば、Pt950(ルテニウム2%)という地金があります。
ルテニウムを2%混ぜることによって、プラチナがとても硬くなります。
だから、鋳造(ちゅうぞう)で指輪を作る場合、現在、IZURUはPt950(ルテニウム2%)を使っています。
鍛造(たんぞう)では、銅を混ぜたPt950を使っています。
それぞれの素材に一長一短があり、作りたいジュエリーや工法によって金属を使い分けています。
金属が硬すぎると、製作時にトラブルが起きやすくなる。
それでは、金属が硬ければ良いのか?
そんな単純な話ではありません。
より詳しく書くと、ルテニウムを3%に増やすと、硬すぎてジュエリーを作るのが難しくなります。
金属が硬すぎると、製作時にトラブルが起きる確率が高くなります。
詳しく書くと長くなりすぎるので、今回、この話は省きます。
最高の素材はありません。
良い指輪を作るため、常に私達は柔軟に考えています。
K18 ゴールドの耐久性について。
昨年のデータを見ると、プラチナを選ぶ人が9割、ゴールドを選ぶ人が1割くらいです。
K24はゴールド100%を指します。
これはとても柔らかく、爪で押すと凹みます。
K18はゴールド75%を指します。
それでは、残りの25%に何を混ぜているのでしょうか?
IZURUは銀を15%、銅を10%混ぜたゴールドを使っています。
ゴールド 75%
シルバー 15%
銅 10%
ゴールドを硬くするために、銅が重要です。
10円玉を思い浮かべてください。
すごく硬いですよね。
10円玉は銅で作られています。
だから、銅を10%混ぜると、ゴールドはすごく硬くなります。
K18は良い素材なので、プラチナと同じくちゃんと設計すればトラブルは起きにくいです。
盲点 サイズが合っていないと、指輪が歪むことがある。
あまり知られていないことですが、大事なことを書きます。
指輪のサイズが緩い。
例えば、サイズが9号の方が11号の指輪を使っていると、指輪が歪んでしまうことがあります。
なぜでしょうか。
サイズが合っている場合、重いものを持った際、指が指輪を支えます。
サイズがブカブカだと、指が指輪を支えることができません。
だから、指輪は楕円形に歪もうとします。
私の母親はすごく薄い、ペラペラの指輪を愛用しています。
工法は鋳造(ちゅうぞう)です。
ペラペラで鋳造の指輪なんて、太くて鍛造の指輪を使っている人からすれば、駄目な指輪かもしれません。
母は40年以上その指輪を使っています。
少し歪んでいますが、大きなトラブルもありません。
不思議だね、とよく話します。
指輪のサイズはピッタリと合い、指と指輪が一体になっているようです。
「なるほど、こんな風に指に合っていると、トラブルが起きる確率が低くなるのかな」
と感心しています。
細すぎる・薄すぎる結婚指輪は避けた方が良い。
この意見に変わりはありません。
ただ、母親の指輪を見ていると、例外もあるなと考えています。
あくまで一つの意見として、参考になれば幸いです。
鍛造と鋳造、工法の違いも結婚指輪の歪みに影響があります。
長くなるので、工法の違いは他の記事で深く掘り下げます。